当園では日本の伝統文化を日常の保育に取り入れております。
一つは「茶道」、もう一つは「琴」です。
文部科学省も「邦楽」を教育に取り入れることを推奨しております。
七夕祭や敬老会、七五三のお祝いやお遊戯会、ひな祭りの折に披露してもらう事がありますが、
基本的には「見せるため」の練習ではなく、上述の通り「日本の伝統文化に触れる」ことと、
「音楽的な幅を広げる」ために行っております。
ピアノやバイオリンも、もちろん素敵な楽器ですし西洋音楽に触れ、習得することも大切です。
ただ、私たちの住まうこの日本にも、世界に誇る素晴らしい伝統文化が多く存在することも又、事実です。
「茶道」にしろ「琴」にしろ真に素晴らしいことは、ただ単に「お茶を点てることができる」や「琴が弾ける」ではなく、
その過程の中で「美しい所作が自然に身に付く」とこであると考えます。
各御家庭の中でも、和室が少なくなって正座をする機会が無いとか、お手洗いが洋式しかないとか、
中々日本古来の生活様式を体験することが難しくなって来ているのではないでしょうか?
「便利だから」という抗し難い欲求(私自身反省する部分は多々あります)への回答として、
又、ここ半世紀ほどの日本の経済成長のあり方の結果として、今、子供たちに伝えるべき「日本の良さ」が
失われつつあるように感じます。
せめて幼稚園に通っている間だけでも、可能な限り多様な経験をさせてあげたい。
大人は子供の成長に責任がありますが、「成長するのは子供自身であり、大人は子供の代わりに成長することは出来ない」のです。
私たち大人も、子供の頃に遊びやいたずらを通じてたくさんの「経験」をして来たのです。
「あ!それはしてはダメだよ」とか「それは、こうするんだよ」とか「お母さん(お父さん)がやってあげるね」等、
一見すると優しい大人です。ただ、少し立ち止まって考えてみて下さい。それは教えてあげなければ(代わりにやってあげなければ)
危険なことであるかどうか、ということを。
大けがや命に危険が及ぶような行為は当然、注意すべきです。ただ、子供がしようとしている行為が危険なものでないのなら、
少し黙って静かに見守ってあげて下さい。その時の子供の集中力に注目してみて下さい。「なんとか出来ないかな?」と、
真剣な表情で取り組んでいる姿を見ることができるはずです。そして、何とか試行錯誤を繰り返しながら「一人で出来た!」時の
充実感に満ちた表情を見逃さないで下さい。そして、ほめることを忘れずに・・・
もし、子供が自分でどうしても出来ない時に、初めて大人が「やり方」を示してあげる。あくまでも成長は子供自身が達成しなければ
ならないからです。
もちろん、忙しい毎日の中で「そんな余裕は無い!」とお叱りを頂く覚悟で申し上げております。
「生活全般全てにおいて、上記のように見守って上げて下さい」とは申しません。ただ、1日に10分や15分は是非、子供たちと
そのような時間を作って頂きたいのです。
私たちマリア・モンテッソーリ幼稚園では、このような考えで子供たちの「自己成長欲求」を満たしつつ、「もっとしたい!」という
意欲の醸成に務めております。
意欲的になった子供、自ら成長したい欲求に支配された子供は、どんどん次のレベル、多様な活動を求めるようになります。
その欲求に応え、成長のお手伝いをすることが私達の使命であると確信しております。
「お琴のお稽古」から話が大きくなってしまいましたが、大切なことですのでお話し致しました。
追記:課外教室では「英語」「体操」「新体操」に加え、「日本舞踊」も希望者を対象に行っております。
日本の伝統文化が特別なものではなく、「ごく当たり前」のものとして子供たちに受け入れられる環境づくりにも配慮せねばなりません。